アップル製品はなぜ中国で作られるのか -実は費用の問題ではなかった-
ニューヨークタイムズに面白い記事が掲載、9to5macがそれを報じています。「なぜアップル製品は中国で作られるのか」。
Designed by Apple in California Assembled in China.
これは多くのアップル製品に書かれている文言ですね。アップル製品は、ご存知のようにカルフォルニアでデザインされ、中国で組み立てられています。
それではなぜ中国なのか。
端的に言うと、アップルのような大企業はアメリカ国内に製造ラインを置くことが出来ないのです。
何年も前になりますが、中国政府は工業都市に対して助成金を出し、一夜にして3000人の労働者を雇い、寝泊りさせられるような工場をいくつも建設しました。
そのような工場では2週間もあれば、8700人のインダストリアル・エンジニアを雇うことが出来ます。(アメリカなら9ヶ月はかかるところを。)
最新のガジェットでは何千もの小さなパーツを必要とし、それらは同じ場所で製造されます。アメリカにはそんな場所も設備もない。
コスト削減が原因で中国が生産地ということではないのです。(もちろん、コストも削減できますが。)
ここで、ちょっと面白いエピソードを紹介します。生前のジョブズ氏のiPhoneのスクリーンパネルに関する逸話。
2007年、iPhone発表予定日の1ヶ月前、ジョブズ氏は幹部をオフィスに集めました。数週間前から彼のポケットにはiPhoneのプロトタイプが入っていた。
ジョブズ氏は持っていたiPhoneをその場にいる全員に見せます- とても不機嫌そうに。
そのiPhoneのスクリーンはプラスチックで出来ており、表面には小さなキズがいくつも見えた。
ジョブズ氏は同じポケットから今度は何かのカギを取り出します。こいつが原因です。
iPhoneはポケットの中で持ち運ばれる。カギだって同じだ。
「キズが付いてしまうような製品を売るわけにはいかない!」とジョブズ氏は感情的に言ったそうです。
「唯一の回避策はキズが付かないガラスを使うこと。プラスチックではなく、ガラスのスクリーンがいい。6週間で完璧にやれ。」
一人の幹部がすぐに中国の深センに飛びます。ジョブズが完璧にと言ったら、中国に行くほかない。
深センでは、8000人の労働者が12時間シフトでガラススクリーンをフレームにはめる作業を行いました。
96時間の作業で、その工場で作られたiPhoneの数は一日一万個以上に。
このエピソードが示すように、アップルの期待に応えられるだけの生産能力を持つ工場は中国にしかない、ということなのでしょう。
ちなみに、アップル製品の生産を行っているフォックスコンでは、300人もの警備員を工場に配置し、従業員が出入り口や通路でぶつかってケガをしないように交通整理が行われており、また、工場の厨房で調理される豚肉は一日平均3トン。お米は13トンです。(日本でコメ13トンなら、どんなに安くても300万円は超えます・・・これが一日ですからね。)
とても面白い記事でした。
原文はこちら。